YamahaのVoIPルーターでアナログ電話の一部をLAN上に乗せる
宅内配線の整理と簡略化の過程での実験の忘備録です。
現状と問題点
様々な機器がインターネットに繋がりつつあるなか、自分の住んでいる家(実家・一戸建て)でも各部屋に置かれた個人PCや無線AP、その他ゲームなどを接続するのに有線LANでやろうという感じになりました。
幸いなことに壁内配線にはCD管が敷設されており、それを使えば簡単に有線LANケーブルを敷設できるはずでした。
しかし、家が建築された当時はADSL全盛期であり、各部屋のアウトレットに用意されていたのはADSL用のモジュラージャックで、そのADSL用ケーブルがすべての部屋に繋がる形で配線されていました。
このケーブルがとても太くて硬く、CD管の半径ほどの太さをもつケーブルがすでにCD管内に存在している状況でした。
一度はLAN敷設の工事を外部の業者に依頼しておこなってもらい、なんとか通すことには成功していましたが、どうも精度が甘くよくパケットロスを引き起こしているっぽいので、今回市販のLANケーブルをそのまま壁内に通す(オス-オス)工事を新たにすることにしました。
そこで立ちはだかるのが極太ADSLケーブルで、これを取り除かないとどう考えても既成品を通すのは無理です。 また、このADSLケーブルは途中で固定電話に接続されていて、取り除いてしまうだけでは電話ができない状態でした。
そこで、ADSLのケーブルを必要最低限だけにして、CD管の中にLANケーブルのみ存在するようにできないかと模索をはじめました。
結論としてはYamahaのVoIPルーター(今回はNVR500)を使用して以下のような配線での新たな工事予定になりました。
必要な設定
今回はYamahaのVoIPルーターが持っているカスケード接続機能を使用します。
NVR500 では、「カスケード接続機能」により複数のルーターのうちの 1 台が他のルーターの TEL ポート及びアナログ回線または ISDN 回線のアナログ通話を一括管理することが可能です。これにより、異なるルーターに接続されているアナログ機器同士で内線通話が可能で、加えて電話回線に接続されていないルーターから、他のルーターに接続された電話回線を使用して外線通話をすることも可能です。
この後半部分の「 電話回線に接続されていないルーターから、他のルーターに接続された電話回線を使用して外線通話をする 」機能を主に使うことになります。
VoIPルーターなので、ルーターとしての機能やIP電話なんかでも使える機種ですが、今回は単純にVoIPゲートウェイとして使用する形になります。試した限りでは図のスイッチの部分をNVR500で置き換えることもできました。
以降の文章中では、外の電話回線と接続する方を「外線用NVR500」、固定電話と接続をする方を「固定電話用NVR500」と呼ぶことにします。
また、固定回線の通信方式はプッシュ方式と仮定します。
外線用NVR500の設定
はじめに、NVR500上部にあるスイッチを「DSUをOFF」に、「LINE-S/TをLINE」に設定します。
NVR500のLAN1~4のどれかにLANケーブルを、LINEに外線につながっている電話線をそれぞれつなげます。
次に、SFTPやシリアル接続で以下の設定を流し込みます。
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固定電話用NVR500の設定
先ほどと同じ様に 上部にあるスイッチを「DSUをOFF」に、「LINE-S/TをLINE」に設定します。
NVR500のLAN1~4のどれかにLANケーブルを、TEL1に固定電話を接続します。
次に、以下の設定を流し込みます。
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実験
試しに、2台のNVR500のLANポートをLANケーブルで繋ぎ、どちらかのLANポート(not WAN)に既存のLANネットワーク(DHCPによる払い出しとかが有効になっている)をつないでみます。
この状態で自宅の電話番号へ発信をおこなえばきちんと電話機で受信でき、電話機から任意の電話への発信ができるはずです。
おわりに
おそらくこの用途だけにNVR500を使うのはもったいない気がする(ルーター機能とか殺している状態ので・・・)のですが、他のVoIPゲートウェイが果たして同じようなことをできるのかわからなかったので一番資料が充実していたYamahaのでやった感じになります。
おそらくQoS周りの設定だったりをしないと他の機器からめっちゃ通信しているときとかに電話が切れたりしてしまう予感がするので、そこら辺も実験しつつ調整していきたいと思います。
作成者 Ralph
最終更新時刻 2019-02-05